2015年2月7日、フジテレビ土曜プレミアムで福山雅治主演、是枝裕和監督による映画「そして父になる」第66回カンヌ映画祭審査員特別賞受賞した作品が地上波初登場で放送された。
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6歳まで育てた息子と血縁関係がない事を知り、取り違えられていた事を知る。
エリートな人生を送っている福山雅治と尾野真千子の家族と、
子沢山で自由な生活を送る庶民的なリリー・フランキー・真木よう子の家族が描かれ
親子にとって大切なのは環境なのか、血縁なのかを
無駄のない淡々と描かれる魅力的な様々なシーンが紡がれ、映像から、音楽から五感で感じ取られ、
家族とは、親子とはについて考えさせられる。
淡く柔らかい映像や、螺旋階段のシーンなど、時々絵画のような静止的な空間の表現や、リズム感がなんだか見ていて心地良いのだ。
バッハなどのクラッシックの音楽の旋律が是枝監督の作り上げるシンプルで人間味のある世界観にとても良く合っているように感じる
痛々しい現実を突きつけられると同時に、是枝監督の温かい人間に対するまなざしが感じられるのだ。
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赤ちゃんの取り違えを題材にしたのは、是枝監督が娘が幼い頃、家を仕事で1ヶ月ぐらい空ける事が多く、久しぶりに家に帰るとお互いよそよそしくなった経験から、「親子」について考えたようだ。
以下ネタバレ
2人の子供が取り違えられた原因は、
産婦人科の看護婦さんがその時上手くいっていなかった人生を2人の赤ちゃんを見た時に、ふと省みて思い立った、故意による行動だった。
取り違えが発覚した現在、看護婦さんは結婚して子供がいた。
福山雅治はやりきれなくなり、看護婦さんの家に訪ねて言葉をかけると、
彼女の息子に
「お母さんをいじめるな」と言われる。
母親と息子の関係を感じ帰ることにした。
自分の能力を息子が受け継いでない事に息子に自分との血縁関係を優先したがる福山雅治
と、同じ環境で生活する子供を分け隔てなく可愛がるリリー・フランキー
の2人の父親像、
そして尾野真千子と真木よう子の息子の環境でも血縁でも目の前にいる息子に対して溢れる母性は、
それぞれのどこかの部分に共感ができて、見ていて涙が出てきた。
お互いの息子を交換して生活してみるなど、4人は苦悩しつつ、
最終的に福山雅治の判断によるところになり、
同じ環境で6年間過ごした息子が、自分の事を父親として愛情を持ってくれていたことを実感し、取り違えられたままの状態で生活していくこととなる・・。
自分がその立場になったらどのような選択ができるのか、家族とは何かを押し付けられるのではなくふと、深く考えさせられる映画だ。
すべての俳優さんの演技があまりにも魅力的だ。
実際に子供のいないリリーさんや尾野真千子さん、福山雅治さんの親としての演技はこの上なくリアリティーに溢れていてどの役者さんも大好きになってしまった。
リリーさんと樹木希林のくすっと笑ってしまうシーンも温かさを感じる。
大切にしておきたい宝物のような映画だった。
視聴率は発表され次第更新したい!